古墳探訪　東三河の前方後円（方）墳集成

　古墳は、梅田川左岸の車神社境内に位置しています。妙見古墳でも触れましたが、三河湾最奥部の渥美湾岸の後期古墳に位置付けられる古墳です。
　古墳の前方部は良く残っていますが、後円部は神社の本殿が建立され削平されています。ただし、本殿の土台部分は石垣が曲線的になっており後円部であったことがわかります。また、石垣東側には、天井石または石棺の石材と思われる長方形の石が置かれています。この付近に、「見学のポイント」と記された立て札が設置されており、初心者でも古墳の理解が増す工夫がされていました。感謝、感謝です。
　また、下の出土品の絵にあるように、銅製鈴杏葉とよばれる装飾用馬具や碧玉製管玉・ガラス製勾玉などは、愛知県の文化財に指定されています。

　墳丘の測量調査は、①１９６８年７月、②２００１年２月に実施され、その結果は①（伊藤悳「車神社古墳」、２００３年、豊橋市教育委員会『車神社古墳　宮脇１号墳　西側古墓群』所収）、②岩原剛・磯村愛子「豊橋市車神社古墳について」（２００１年、『豊橋市美術博物館研究紀要１０号』所収）として報告されています。調査年次と報告年次とが逆転しているため、下記のように、論文①が論文②の報告内容を批判しています。「後出しじゃんけんじゃん」。　
　岩原剛さんは、２００１年２月に実施された測量調査により、「規模は全長約３３ｍ、後円部の径約１７ｍ・高さ２ｍ以上、前方部の長さ約１６ｍ・幅約１３．５ｍ・高さ約２・７ｍ、くびれ部の幅約８．０ｍを測る。」（「２４３　車神社古墳」p．701、『愛知県史　資料編３　考古３古墳』所収）と述べています。
　ただし、１９６８年７月実施の墳丘測量調査により、「以上のごとく前方部の北端と後円部の南端を結ぶと、３６．２ｍが車神社古墳の墳丘全長となる。」（p．3）、「後円部の径は１８．４ｍ、後円部の高さ２ｍ以上、前方部幅約１５ｍ、前方部高さ２，７５ｍ、くびれ部幅約９ｍというのが、実測にもとず（おっさん註　ママ）いて導き出された今回報告する数値である。」（p．6）（伊藤悳「車神社古墳」p．3、豊橋市教育委員会発行『車神社古墳　宮脇１号墳　西側古墓群』所収）と述べています。そして、「７（おっさん註　上記②報告）の３３ｍは、「本殿の周囲をめぐる石垣がある程度後円部の形態を反映している可能性」の上にたっての推定である。石垣の東側と南側にトレンチを設け４本の等高線を測り、後円部の裾を確認した今回の報告書の数値（３６．２ｍ）がより正確なものと言える。前方部北の窪地を周溝とした場合は、これよりも若干長くなるだろう。」（p．6）と述べています。
　そのため、ここでは説明板の「規模は全長３６メートル」と同じ数値を示す、後者のデータを採用しタイトルを「３３ｍ→３６ｍ」としました。


　豊橋市教委の説明板。豊橋市教委の出土品の説明板。
　標柱。標柱（裏面）。
　「見学のポイント」。

　後円部中央。右側。左側。
　前方部右側。左側。

　前方部から後円部。前方部右隅から後円部。前方部左隅から後円部。

　３つで全景。前方部。くびれ部。後円部。

　石室の石材。

　後円部東側面。。
　後円部西側面の一部。

　全景（横から）。右が前方部、左が後円部。　　　　　　　　以上2023年12月撮影。